2005.06.12 Sunday
風は女なんだよ/「言うてしまえ」No.9
グレートフル・デッドのミッキー・ハートと1週間一緒に過ごした。
25年前の事だが。
ミッキーと私に共通したものがあった。
柔道だ。
ミッキーは三段、私は初段だった。
私は小松高校の柔道部員だった。
2年間柔道ばかりしていた。(私は体育会系である)
ミッキーと講道館で乱取りをした。
二人とも真剣になり、思わず背負い投げでミッキーを投げてしまった。
「しまった」と思ったが仕方が無い。
私は世界で一番好きなバンドのドラマーを投げてしまった。
アメリカの三段より、日本の初段の方が強いのだ、ミッキー。
私は彼を「ミッキー」と呼び、彼は私を「ショダーン」と呼ぶようになった。
一緒に一口坂スタジオでレコーディングした。
色んな事を教えてくれた。
ドラムスのマイキング、コーラスの仕方、譜面の作り方、リズムの取り方・・・。
エネルギッシュな男だった。
毎朝ジョギングし、ビールを飲んでいた。
煙草は吸わないが、葉巻を吸った。
ピッグペンの事、ガルシアがTシャツを洗わず臭くなるとそのまま捨てる事、メンバーは固定されてない事、LSDは栄養剤だと思っている事等々。
空いた日に、私は彼を伊豆に誘った。
真夜中に東京を車で出た。
途中、伊豆伊東で休憩した。
伊東の港に強い風が吹いていた。
彼はとても喜んで風に吹かれていた。
風が好きなんだと言った。
私は「なんで風が好きなの?」と聞いた。
「風はね、女なんだよ。 僕はそう思っている。 風は何か伝えて来るんだ。 僕はよく風の声を聞く事がある」
何か良く解らなかった。
その当時、ミッキーは独身だった。
過去に、思い出に残る女がいたかも知れない。
失恋したのかも知れない。
伊豆伊東の港の風に向かい、長い時間佇んでいた。
私は煙草を吸っていた。
「よし、元気が出た。 リフレッシュした。 さあレッツ・ゴー!」
そう言って、彼は再び車に乗り込んだ。
この年になって思う。
風が女だったらとても素敵だ。
私の身体を包み、まとわりつき、そして去って行く。
また、或る時は、そっと背中を押してくれる。
風は女なのだ。
25年前の事だが。
ミッキーと私に共通したものがあった。
柔道だ。
ミッキーは三段、私は初段だった。
私は小松高校の柔道部員だった。
2年間柔道ばかりしていた。(私は体育会系である)
ミッキーと講道館で乱取りをした。
二人とも真剣になり、思わず背負い投げでミッキーを投げてしまった。
「しまった」と思ったが仕方が無い。
私は世界で一番好きなバンドのドラマーを投げてしまった。
アメリカの三段より、日本の初段の方が強いのだ、ミッキー。
私は彼を「ミッキー」と呼び、彼は私を「ショダーン」と呼ぶようになった。
一緒に一口坂スタジオでレコーディングした。
色んな事を教えてくれた。
ドラムスのマイキング、コーラスの仕方、譜面の作り方、リズムの取り方・・・。
エネルギッシュな男だった。
毎朝ジョギングし、ビールを飲んでいた。
煙草は吸わないが、葉巻を吸った。
ピッグペンの事、ガルシアがTシャツを洗わず臭くなるとそのまま捨てる事、メンバーは固定されてない事、LSDは栄養剤だと思っている事等々。
空いた日に、私は彼を伊豆に誘った。
真夜中に東京を車で出た。
途中、伊豆伊東で休憩した。
伊東の港に強い風が吹いていた。
彼はとても喜んで風に吹かれていた。
風が好きなんだと言った。
私は「なんで風が好きなの?」と聞いた。
「風はね、女なんだよ。 僕はそう思っている。 風は何か伝えて来るんだ。 僕はよく風の声を聞く事がある」
何か良く解らなかった。
その当時、ミッキーは独身だった。
過去に、思い出に残る女がいたかも知れない。
失恋したのかも知れない。
伊豆伊東の港の風に向かい、長い時間佇んでいた。
私は煙草を吸っていた。
「よし、元気が出た。 リフレッシュした。 さあレッツ・ゴー!」
そう言って、彼は再び車に乗り込んだ。
この年になって思う。
風が女だったらとても素敵だ。
私の身体を包み、まとわりつき、そして去って行く。
また、或る時は、そっと背中を押してくれる。
風は女なのだ。