2005.07.12 Tuesday
私はその世代の息子なのだ/「言うてしまえ」No.35
文学青年では無いが、本を読むのは好きだ。
中学の頃、日本文学全集と世界文学全集は全部読んだ。
母親が 「大人になってから読んで」 と買ってくれた物だ。
昔の事なので、作者と作品がごちゃごちゃになっている。
「ユリシーズ」 「ナナ」 「静かなるドン」
訳も分からず読んでいたが 「ナナ」 を毎晩読んだ。
眩暈(めまい)がした。
女性というものが動物に思えた。
日本では、谷崎や永井荷風にハマった。
これまた女性がよく登場する。
大人の世界は、子供よりも子供なのだと思った。
何か安心した。
大人達も結構アホでイーかげんなのだと分かった。
めんたんぴんを始めて数年、殆ど本は読まなかった。
バンドが解散状態になり、新丸子の古本屋に通い詰めた。
作者名など何も知らないので、端から買って読んだ。
暫くして面白そうな作家に出会った。
開高 健である。
それで彼の本を全部読んだ。
「青い月曜日」 「フィッシュ・オン」 「白いページ」 「夏の闇」
彼は私の両親と同じ世代である。
だから読みたかった。
どこかで親を知りたかったのだ。
そして釣りに走った。
朝から晩まで釣りをした。
日本海で、伊豆稲取で、三浦半島で、湘南で、そこら中を釣り回った。
渓流から海まで、チャンスがあれば色々な釣りに手を出した。
その大好きだった開高 健を、私は読まなくなった。
彼の世界に同化出来なくなった。
「夏の闇」 が急に作り物に思えてきた。
「漂っている・・・」そう感じ出した。
出口の無い文学という海で、ただ 「漂っている」 と思った。
悲しかった。
まるで親に冷めて行く子供みたいに悲しかった。
また開高を読む日が来るのだろか。
あの気持ちの良いリズムの世界へ再び入って行くのだろうか。
多分、無いだろう。
私は遠い所に来てしまった。
最後の作品 「花終わる闇」。
赤裸々な彼がある。
最後の言葉 「やはり女だった」
世界中を巡り、釣りをし、食いまくった作家は、何を求めていたのだろう。
いや、求める何かを確かめる事無く、亡くなったのではないか。
淋しい人生だったと思う。
ずっと彼の息子のように思っていた。
ビデオの中で釣りをする彼は、黙々と釣り場を巡った。
悪事を知らず、私などには無い、律儀な、行動する力が有った。
戦中派。
「戦争」 と 「敗戦」 という時代に青春を送った人達。
私の両親も含まれる。
やるせない悲しみを、私は感じている。
私はその世代の息子なのだ。
中学の頃、日本文学全集と世界文学全集は全部読んだ。
母親が 「大人になってから読んで」 と買ってくれた物だ。
昔の事なので、作者と作品がごちゃごちゃになっている。
「ユリシーズ」 「ナナ」 「静かなるドン」
訳も分からず読んでいたが 「ナナ」 を毎晩読んだ。
眩暈(めまい)がした。
女性というものが動物に思えた。
日本では、谷崎や永井荷風にハマった。
これまた女性がよく登場する。
大人の世界は、子供よりも子供なのだと思った。
何か安心した。
大人達も結構アホでイーかげんなのだと分かった。
めんたんぴんを始めて数年、殆ど本は読まなかった。
バンドが解散状態になり、新丸子の古本屋に通い詰めた。
作者名など何も知らないので、端から買って読んだ。
暫くして面白そうな作家に出会った。
開高 健である。
それで彼の本を全部読んだ。
「青い月曜日」 「フィッシュ・オン」 「白いページ」 「夏の闇」
彼は私の両親と同じ世代である。
だから読みたかった。
どこかで親を知りたかったのだ。
そして釣りに走った。
朝から晩まで釣りをした。
日本海で、伊豆稲取で、三浦半島で、湘南で、そこら中を釣り回った。
渓流から海まで、チャンスがあれば色々な釣りに手を出した。
その大好きだった開高 健を、私は読まなくなった。
彼の世界に同化出来なくなった。
「夏の闇」 が急に作り物に思えてきた。
「漂っている・・・」そう感じ出した。
出口の無い文学という海で、ただ 「漂っている」 と思った。
悲しかった。
まるで親に冷めて行く子供みたいに悲しかった。
また開高を読む日が来るのだろか。
あの気持ちの良いリズムの世界へ再び入って行くのだろうか。
多分、無いだろう。
私は遠い所に来てしまった。
最後の作品 「花終わる闇」。
赤裸々な彼がある。
最後の言葉 「やはり女だった」
世界中を巡り、釣りをし、食いまくった作家は、何を求めていたのだろう。
いや、求める何かを確かめる事無く、亡くなったのではないか。
淋しい人生だったと思う。
ずっと彼の息子のように思っていた。
ビデオの中で釣りをする彼は、黙々と釣り場を巡った。
悪事を知らず、私などには無い、律儀な、行動する力が有った。
戦中派。
「戦争」 と 「敗戦」 という時代に青春を送った人達。
私の両親も含まれる。
やるせない悲しみを、私は感じている。
私はその世代の息子なのだ。