8月5日 晴れ 起床6時半
豆腐と茄子の味噌汁、スペアリブ、きゅうりマヨ、
ハム、ポテトサラダ、ご飯、マンゴー・ケーキ、
スイカ、青汁。
モス・バーガーを営むDさんから、お中元にケーキを
もらった。マンゴー・ケーキとチーズ・ケーキを。
マンゴーケーキは、冷蔵庫で冷やして喰った。
これがメチャメチャ旨い。
もう、ダイエットはあきらめた。
今年は、お隣からもらうスイカも強力に旨い。
食後に、マンゴーケーキとスイカ喰って、動けなくなっ
てる、夏なんです。
日傘クルクール。
僕はしあわせ。
腹はパン・パラ・パン!
頭はスッカラ・カン!
昨日、病院で体重計ったら、1キロ増やて。
やってられんわ!
こんだけ汗かいて、晩飯から炭水化物抜いて、そんで
1キロ増かいな!
おまけに心臓病の医師は、緊急の手術が入ったとかで
お休み。こうなると生活習慣の若い医師にカラミたく
なる。
彼は血液検査で出てくる、或る数値を、異常に気にし
ていた。
「これが、0・8から1・6の間に収まれば良いん
ですが〜。先月は2・28ですからね〜」
彼は数値を下げるために、メルカゾールと云う強い薬
を、このひと月、かなり多めに僕に服用させた。
もし、数値が良くなっていれば、一発かましてやろう
と思った。あれだけのメルカゾールを飲ませやがって。
数値はきっと改善してるはずだ。
「先生、良くなりましたかね」
「佐々木さん!バッチリ、1・2ですよ!」
「バッチリですね」
「はい、バッチリです!」
「ほんなら先生、今度来るのは2か月後にしましょうか」
「そ、そ、そうですね」
「9月29日でどうです!」
「はい、そうしましょう、佐々木さん、9月29日ね」
これでひと月分、得をした。
この医師は前に、待合室で寝ていた僕を揺り動かし、
「佐々木さん!大丈夫!」と、叫んだことがある。
僕にはどこででも眠る習性があると、そう告げたが、
彼は信じなかった。
「佐々木さん!あなたね、夜、眠れてるの?」
「眠れてますけど」
「いやいや、無呼吸症の可能性ありますねー」
「だから、眠れてますけど」
彼は呼吸か、脈を計る、電子機器を持ち出した。
「これ装着して一晩寝てください」
「どうすんの?」
「これであなたが無呼吸かどうか分かりますから」
「だから、そうじゃないって」
僕はその電子機器を装着して夜眠ったが、まったく
寝付けなく、すぐに外した。翌日、そのまま病院へ
届けた。
「なんで人の云う事聞かんの?」
次の診察時に医師は云った。
「あんな機械、面倒くさいがな」
医師はあきらめた。
無呼吸の話は、それ以来出なくなった。
僕もそれ以来待合室で眠らなくなった。
多分、僕は無呼吸症だ。
ではなぜ、彼に意地悪を云うのか。
その答えはひとつ。
覚えて欲しいから。
僕を覚えて欲しい。
彼には何十、何百の患者がいる。
「覚えろ!」と云う方が無理だ。
それは良く分かってる。
でも、覚えて欲しい。
「そうですか、佐々木さん死にましたか」
ひと言で終わるだろう。
いや、その一言も、多分ない。
それが現実だ。
それはそうなのだ。
でも覚えて欲しい。
生きてる者の、贅沢なんだけど。
ひと月ごとより、ふた月ごとの方が助かる。
僕は大いに気分を良くして病院を後にした。